フェンの宝箱

2023年02月02日

フォレスト・フェン氏の宝箱の隠し場所は、ジャック・ステューフ氏が2020年6月に宝箱を見つけた後を秘匿されたままでしたが、昨年5月、隠し場所がついに公開されるかもしれないというニュースが流れました。

フロリダ州のトレジャーハンターの男性が「フェン氏は宝箱を4回にわたって動かし、私が宝箱に近づくたびにそれを繰り返した」と訴えたのがきっかけです。

それまでの幾つかの訴訟と同じように、単なる言いがかりのようにもみえますが、この男性は「フェン氏が自分を監視するために、探索場所の近くの不動産まで購入している」とまで主張しています。

ステューフ氏は宝箱が、フェン氏が隠した2010年からずっと同じ場所にあったことを説明するよう迫られるかもしれないということです。

この裁判の過程で、宝箱の隠し場所はワイオミング州のイエローストーン国立公園のどこかであり、宝箱が発見された2カ月後の2020年8月に、フェン氏とステューフ氏から、同国立公園のレンジャーの女性トップ、サラ・デイビス氏に隠し場所が伝えられていたことも明らかになりました。

現地を調査したデイビス氏は、宝箱の隠し場所が発表された場合、大量の観光客が押し寄せ、公園の破壊につながるして、その非公開を支持したそうです。

さて、それから半年以上が経過しましたが、この裁判がどう進展したか、ネットを検索しても見つかりません。

フェンの宝箱の隠し場所はもちろんのこと、詩に一体どんな手掛かりが隠されていたのか、知りたいところです。(この項終わり)


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追記1 フォレスト・フェン氏の回顧録は当初、「探索のスリル」と訳しましたが、原文通り「追跡のスリル」としました。そのほか、おかしな点、誤訳等がありましたらご指摘くたせさぃ。
追記2 詩を正しく解釈すれば宝箱の隠し場所がわかるとされますが、解読するためには「追跡のスリル」の全文を読む必要がありそうです。また、かなりの英語の知識も求められるようです。


(07:30)

2023年01月30日

フォレスト・フェン氏がワイオミング州に隠した宝箱を発見したジャック・ステューフ氏は、その正確な場所を明らかにしていませんが、自分だけがどうしてゴールに到達できたか、メディアの質問に答えています。

慎重に言葉を選び、場所の特定に結びつくような情報は一切口にしていませんが、それでもかなり興味深い内容が含まれています。

以下にポイントを箇条書きにします。

大事なのは詩自体を綿密に調べることだ。そのためにはフェン氏が書いたことや語ったことを何度も読み返し、彼の感情を理解する必要がある。

詩の謎を解くのに、アナグラムやGPS座標、複雑な暗号の読解などは必要ない。

フェン氏が宝を隠した目的は、素晴らしいパズルを作成して自分がどれほど頭がよいかを皆に示すことではなかった。フェン氏の頭にあったのは、自分自身を埋葬し、歴史的な伝説をつくるという、前代未聞のアイディアだった。

詩の第2節の後半は難解であり、それを解読するためには、フェン氏のものの見方で考えなければならない。

詩の第4節に出てくる「the blaze(炎)」は、自然の力によってかなりダメージを受けており、簡単には読み取れなくなっている。

フェン氏は宝箱が埋まっているかどうか言わなかった。宝箱は地面に置かれていたが、平地ではなく、時間の経過とともに松の葉や木片などで埋まる可能性があった。
(この項続く)


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(07:00)

2023年01月29日

フォレスト・フェン氏が財宝入りの宝箱をロッキー山脈のどこかに隠したと発表し、トレジャーハンターたちによる宝探しが始まってから10年、ついに宝箱が発見されます。

フェン氏は2020年6月、米国東部の匿名の男性が宝箱を見つけ、この男性から証拠の写真が送られてきたことをネットやメディアで発表します。

今の気持ちを尋ねられたフェン氏は「半分うれしく、半分悲しいような気持ちだ。宝探しが終わったからね」と答えています。

隠し場所についてはワイオミング州内であることだけが明かされました。

その3カ月後、宝箱の発見を待っていたかのように、フェン氏は90歳で息を引き取りました。

発見者の名前は伏せられていましたが、同年12月、ミシガン州の32歳の医学生、ジャック・ステューフ氏が名乗りを上げ、見つけるまで2年間かかったことを公にします。

名前を伏せていた理由について「フェン氏と彼の家族がこれまで耐えてきた、ストーカーや殺害の脅し、住居への押し入り、つまらない訴訟、誘拐の恐れが、自分と自分の家族の身に降りかかるのを避けたかった」と語っています。

ステューフ氏が名前の公開に踏み切ったのは、シカゴの女性弁護士がフェン氏の宝箱の発見者に対し、訴訟を起こしたためでした。

宝探しに数千ドルを費やしたというこの女性弁護士は、自分は詩の謎を解いて宝箱のありかを割り出しており、発見者(ステューフ氏)に自分のメールをハッキングされたと主張しました。

ステューフ氏は、宝箱の正確な隠し場所については今後も公開しない方針を示し、「(公開すれば)フェン氏が大切にした素晴らしい自然が、私やフェン氏が落としたかもしれない財宝の一部を探そうとする人たちによって荒らされてしまう」と述べました。(この項続く)


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(08:00)

2023年01月26日

フォレスト・フェン氏は財宝入りの宝箱をいったいどこに隠したのか。

フェン氏は、回顧録「追跡のスリル(The Thrill of the Chase)」に記した24行の詩を何度も読み返し、9つの手掛かりを解読すれば、必ず宝箱を見つけることができると語っていますが、テレビ番組などでそれ以外のヒントも明らかにしています。

また、宝探しで犠牲者が出たことから「80歳の人間が辿り着けないような危険な場所には隠していない」と何度も強調しています。

以下に主なヒントを箇条書きにしてみました。

宝の隠し場所はニューメキシコ州、コロラド州、モンタナ州、ワイオミング州のロッキー山脈のどこかである(カナダやアイダホ州ではない)

宝は海抜5000フィート(約1500メートル)以上、10200フィート(約3060メートル)以下の場所にある

宝を見つけるために古い家を掘り起こす必要はなく、どんな建造物も関係しない

宝は墓地や鉱山にはない

宝の隠し場所は山の頂上ではないが、頂上近くの可能性はある

宝は水の中にはなく、リオグランデ川の近くにもない

宝は松の木が茂ったエリアにある

宝を見つけるために大きな岩を動かしたり、急な斜面を上り下りしたりする必要ない

宝の隠し場所にたどり着くために最初にすべきことは(詩の第2節の)「温かい水が止まるところ」を探し出すことだ。この場所をダムと解釈している人がいるが、ダムとは関係ない
(この項続く)


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(07:00)

2023年01月25日

さて、フェンの宝箱探しで二人のトレジャーハンターが亡くなった後、ニューメキシコ州の警察署長はフェン氏に対し、宝探しの中止を要請します。

「人々に冒険心を持ってもらいたいというフェン氏の考えは理解できるが、死者がこれ以上増えるのは受け入れられない」というのがその理由です。

一方のフェン氏は、自分が仕掛けた宝探しで犠牲者が出たことを受け、故人を悼み、家族や友人たちを労わる声明を発表します。

ただし、宝探しの中止要請に対しては「グランドキャニオンでは毎年平均して9人が亡くなっているが、誰も立ち入り禁止にしろとはいわない」と反論します。

違法な発掘行為で検挙されるケースも相次ぎました。

最も悪質とされたのは、イエローストーン国立公園の墓地を掘り起こしたユタ州の52歳の男性で、ワイオミング州の地方裁判所は2021年3月、懲役6カ月と自宅拘禁6カ月、2年間の保護観察、3万ドル余の罰金を言い渡しました。

この男性はフェンの宝物を発掘するために、2019年後半から2020年の初頭にかけて墓地で17個の穴を掘り、考古学的な史料に損害を与えたということです。

また、2020年1月にはインディアナ州の55歳の男性がイエローストーン国立公園のグランドキャニオン(有名なグランドキャニオンとは別)にロープを使って懸垂下降を試み、レンジャーに救助されました。

男性は刑務所で1週間過ごし、4000ドル以上の救助費用の支払いと、国立公園への5年間の立ち入り禁止を命じられました。

フェン氏は宝探しに「クライミングは必要ない」と忠告していましたが、男性は自分の推理が正しいと信じていたそうです。(この項続く)



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(07:00)