一色山城の金鶏伝説

2022年09月13日

二つほど小山を超えて、尾根の頂上にたどり着くと、明らかに人工的にならされたと思われる土地が広がります。

ここが間違いなく一色山城跡でしょう。

ただし、主郭とされる場所は一戸建て程度の広さで、とても城とは思えません。

また二段になった曲輪や堀切は確認できますが、シダが茂っているせいかもしれませんが、虎口などは不明です。

少し休んでから、金属探知機を使った探索を始めます。

まず、櫓台状の土壇とされる場所の近くから始め、5分ほどで金属探知機が高い音を発しました。

スコップで掘って(木の根っこに遮られて、少し力を要します)、深さ5㎝ほどの地中にアルミ缶の破片を見つけました。

さて、この後はうんともすんとも反応しません。

一時間半ほどの時間をかけて、城跡とされる場所のほとんどをチェックしたのですが、何一つ確認できません。(もちろん、私の玩具のような金属探知機には反応しない、もっと深い場所に埋蔵金が埋められているかもしれません)

倶姫が身を投げたとされる大井戸の跡も発見できませんでした。

というわけで、一色山城の金鶏伝説は伝説のままです。

成果はありませんでしたが、人があまり足を踏み入れたことのない山中で、金属探知機を使った本格的な埋蔵金探しを楽しめたという点ではそれなりに満足しています。(この項終わり)

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 今回も見つかったのはゴミだけでした=愛知県瀬戸市で

追記 帰りは尾根を西側に下り、沢沿いを歩いて駐車場所に戻ったのですが、これがかなり難儀な行程でお勧めできません。もとの道を戻った方がよさそうです。


(08:00)

2022年09月12日

一色山城の正確な場所はずっと不明でしたが、最近になって遺構が見つかったようです。

場所は瀬戸市川平町の県道207号の近くで、グーグルマップにも位置が表示されています。

ただし、現地には案内看板や石碑などは一切ありません。

「愛知の山城ベスト50を歩く」(愛知中世城郭研究会・中井均編)では2番目に一色山城を取り上げ、城跡の詳細を伝えています。

それによると、主郭は細長い曲輪で2段になっており、中央部に櫓台状の土壇があります。

また、比較的規模は小さいものの、枡形虎口(敵の侵入を防ぐために、城の出入り口に設けた四角いスペース)と馬出(同様に設けた曲輪)を備えたメリハリの利いた縄張りである、と評しています。

有り難いことに一色山城跡へのアクセスも紹介され、それを参考に現地に向かいます。

県道207号と林道が交わるスペース(「ほたるの里」と書かれた木の看板が目印)に車を駐車し、金属探知機を分解して入れたリュックを背負って、県道207号を北へ徒歩5分。

2個目の40キロ制限の標識の少し手前で左の法面を登り、尾根に取り付きます。(そのあたりの場所が尾根に取り付きやすいというだけで、登城口があるわけではありません)

藪漕ぎとまでは言いませんが、地面はシダや枯れ葉、倒木で覆い尽くされ、登山道というにはほど遠い様相。

映画「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」の冒頭のシーンのジャングルを思い出しました。(この項続く)

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 一色山城跡。中央奥が櫓台状の土壇と見られる=愛知県瀬戸市で

(09:00)

2022年09月10日

今回は、中部地方に伝わる埋蔵金伝説の中でもマイナーで、金属探知機による現地での探索が可能なものを選びました。

一色山城の金鶏伝説です。

もしかしたら、日吉神社の埋蔵金や尾張徳川家の駿府御譲金よりも、埋蔵金が見つかる可能性は高いかもしれません。

一色山城といっても、ほとんどの方は聞いたことがないでしょう。

愛知県瀬戸市の北部にあった山城です。

築城時期は不明ですが、戦国時代に織田信長の家臣だった磯村左近が居城したとされます。

この城の落城をめぐって、地元には二つの興味深い伝説が残されています。

天文3(1534)年、磯村左近が感応寺の和尚と囲碁の対戦中、品野秋葉城主の松平家重と落合城主の戸田家光が攻め寄せ、一色山城を焼き討ちして引き上げた。

敵襲来の急報を受けた左近は、碁を悠々と打ち終えた後に駆け付けたが、奮戦むなしく討ち死にした。

その地は後に勝負が沢(菖蒲ケ沢)と名付けられたという。

また、左近には倶姫という美しい姫がいたが、燃え盛る城内から家宝の金鶏を持ち出し、大井戸に身を投げて死んだ。

以来、毎年元旦の早朝に一色山の頂上で鶏が時を告げ、姫を慰めたという。


金鶏伝説は全国各地に残されていますが、埋蔵金の隠し場所を指していることが多いようです。

一色山城の大井戸があった場所がわかれば、そこからお宝が見つかるかもしれません。(この項続く)


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 寛政4年の春日井郡上水野村絵図。中央上に古城跡(一色山城址)が見える

(09:00)