2022年12月27日

今回は日本の埋蔵金研究の第一人者、畠山清行氏の本に関わる話です。

3カ月前にネット通販で入手した畠山氏の最後の著書「海底の秘宝と埋蔵金」は、どうせ「日本の埋蔵金」や「新・日本の埋蔵金」の焼き直しだろうと思って、ずっと積読状態だったのですが、ページを開いてい見て驚きました。(そんなことはとっくに承知で、今さら何を言ってるんだと叱られそうですが)

「木曾義仲の隠れ城の秘宝」や「武田勝頼の軍資金埋蔵異説」など、これまでの著作では触れなかった埋蔵金伝説について記しています。

それ以上に仰天したのは、畠山氏が「日本の埋蔵金」で取り上げた二つの埋蔵金の存在をはっきりと否定(いずれも既に発掘済みと断定)していることです。

一つは天草四郎軍が熊本県苓北町の三角池に埋めたキリシタンの秘宝で、久留米の師団が昭和12(1937)年の第二次上海事変の際にこの池で渡河訓練を行い、誤って溺死した兵士を引き上げる際に黄金版などを掘り出したのを目撃したという老人の証言を紹介しています。

畠山氏は当初、老人の戯言とみてまともに相手にしなかったようですが、陸軍が口封じのためにこの老人に贈った感謝状を目にして納得します。

もう一つは結城晴朝の埋蔵金で、安政6(1859)年の瓦版が報じた、農家の古井戸から金の延べ棒9000本が見つかったという話を事実であると認めています。

仲元虎斉氏らが行った発掘作業には、畠山氏も当事者として加わっており、「300万円近い大金と数カ月の労力を無駄にした」と後悔しています。

畠山氏は本の中で「研究者にとって最も大切なのは初心者の態度である」「己惚れや知ったかぶりは絶対に慎むべきだ」と戒めを込めて書いていますが、私自身も心に刻みたいものです。


(08:00)

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